めっきの腕時計
めっきのイメージ
「めっきが剥げる」という言葉があります。取り繕うことができなくなり、本性が明らかになってしまうことを言いますが、めっき自体のネガティブなイメージはこのあたりをもとにしているように思います。素材の加工技術としてのめっきは決して悪いものではなく、たくさんの長所があります。
めっきとは
めっきはカタカナで「メッキ」と書くこともありますが、腕時計新聞では「めっき」で統一しています。漢字では「鍍金」と表記し、こちらは普段の生活の中では目にする機会が少なくなっています。めっきとは、モノの表面に金属の膜をつくる技術を指します。めっきは紀元前1,500年頃から行われていた歴史のある技術です。めっきは液体中で行う「湿式めっき」と真空中で行う「乾式めっき」に大別でき、湿式めっきはさらに電気を使う「電気めっき」と化学反応による「化学めっき」に分けることができます。
めっきの効果
めっきは「装飾性」のために用いられるイメージが強いですが、他にもサビや腐食を防ぐ「耐蝕性」と、電気伝導性を高めるなどの「機能性」を付加するためにも使われます。腕時計全体をみると、「装飾性」と「耐蝕性」のためだけでなく、「機能性」のためにもめっきが用いられていることがわかります。
金無垢の問題
今ではコンビニや100円均一ショップでも腕時計を買うことができますが、本来時計は高級品でした。ケースには金や銀などの貴金属が用いられ、時計が提供できる機能と高すぎる価格とのバランスを調整していました。後に、ステンレスが腕時計に採用されるようになってからも、高級モデルには金やプラチナが素材として使われています。金には耐蝕性があり、美しさにも長けているのですが、他の金属に比べると柔らかいのでキズがつきやすかったり変形しやすいなどの問題があります。
めっきの利点
めっきでは、地金に金よりも硬い金属を用いることで、金の弱点である柔らかさを克服することができます。美しく、錆びず、丈夫であるという、普段使いする腕時計にとっては理想的な素材といえるでしょう。めっきの可能性に気づいた時計メーカーは、独自のめっき技術の開発を進めてきました。特に普及品が主力商品であった国内時計メーカーではその傾向が顕著で、セイコーが「SGP」、シチズンが「CGP」と銘打って、めっき技術の素晴らしさを前面に押し出していた時期もあります。
めっきの正当な評価
めっきを貴金属の代替品を作るための技術として考えてしまうと、その価値をきちんと評価することができません。めっきは貴金属の弱点を補う、優れた加工技術のひとつだと捉えるべきでしょう。
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記事のメタ情報
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公開日 | 2018年2月14日 |
著者 | watchjournal-admin |
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