腕時計の大掛かりなメンテナンス
腕時計のメンテナンス
以前、頻度や費用の違いを基準に、腕時計のメンテナンスは大きく3つに分けました。費用がそれほどかからず、毎日できるメンテナンス(A)。半年から1年に一度行うメンテナンス(B)。そして、数年に一回行う大掛かりなメンテナンス(C)です。これらのうち、本格的なメンテナンスであるCの「数年に一回行う大掛かりなメンテナンス」について紹介します。
何をするべきか
腕時計を使いはじめて数年が経過したのであれば、「分解掃除」をおすすめします。機械式時計が主流だった1960年代までは腕時計の分解掃除(オーバーホール)はあたりまえに行われていたメンテナンスでしたが、クォーツ式の腕時計が普及した後はすこし耳慣れない言葉になってしまいました。分解掃除は、腕時計をすべてばらばら分解して、汚れや古い油を洗浄し、もう一度組み上げる作業を指します。分解掃除は機械式時計だけに必要なものではなく、アナログ表示の針をもつ腕時計では分解掃除を定期的に行ったほうが良いでしょう。一方、デジタル表示の腕時計では、メーカーが在庫を持っている間であればモジュールの交換をしてしまうのもありです。また、防水性能を維持するためのパッキン交換や、落下を防止するためのバネ棒交換など、消耗部品をすべて交換するのもおすすめです。
いつするべきか
「数年に一度実施するメンテナンス」と書きましたが、はたして何年に一度実施すればよいのでしょうか。これは「使用頻度や使用環境によるので一概には言えない」というのが答えです。毎日使った腕時計と、半年に一回しか使わなかった腕時計とでは、腕時計の状態が異なることは容易に想像できますね。ただ、ここで話を複雑にするのが、毎日使っていた腕時計のほうが調子が良い場合がある、ということです。乗り続けている車のほうが調子が良いことがあるように、腕時計でも同じ状況がしばしばみられます。実際の状態については専門家しか判断できません。機械式時計の場合、目安として、3年から5年に一度は分解掃除をしたほうが良い、と言われていますが、前述したように使用頻度や環境によるところが多いので、このタイミングで修理店に相談してみるのはいかがでしょうか。
どこでするべきか
百貨店や路面店などで購入したブランド時計であれば、素直に購入したお店に相談するのが良いでしょう。ただ、メンテナンスの際に思ったよりも高額な費用を請求させることが多いです。40万円で購入した時計なのに、分解掃除諸々含めて10万円のメンテナンス費用が必要だった、ということは珍しいことではありません。一方、腕時計修理専門店での修理は相対的に費用を抑えられますが、部品の入手ができない場合があることや、次にメーカーに修理を依頼しようとすると自店以外で修理した履歴のある腕時計は嫌がられることがある、ということを知っておきましょう。なお、電池交換などを主に行っているお店ではブランド時計や機械式時計の修理自体を請けてもらえないことも多いようです。
費用の概算
何をどこまでやるのか、によりますが、機械式時計の場合、分解掃除には数万円の費用が必要です。ブランドの違いや機構の複雑さによって価格を分けていることが多く、シンプルな手巻きの腕時計と複雑なクロノグラフとでは費用が倍以上異なることがあります。腕時計の購入前には、あらかじめメンテナンス費用のことも考えておいたほうが良さそうです。
やらないとどうなるの?
腕時計のメンテナンスを怠るとどうなるのでしょうか。機械式時計では、日差が大きくなったり、腕時計が止まってしまう可能性が考えられます。歯車に差された油が汚れたり劣化することで全体の動きが悪くなり、負荷がかかることで部品の破損や固着による不動が起こります。クォーツ式の時計では、単純にモジュールが壊れて動作しなくなる可能性があります。クォーツ式の時計は機械式時計よりも寿命が短いと考え、メーカーの部品保持期間を調べておいたほうがよいでしょう。
やらないとどうなるの?
どんな腕時計でも、定期的なメンテナンスの必要があるのは間違いありません。あとは実際の利用状況と、メンテナンスに必要な費用とのバランスをみながら、ということになりますので、車や家のメンテナンス同様、ある程度先を見越した計画を立てておくのがブランド腕時計との賢い付き合い方です。
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記事のメタ情報
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公開日 | 2018年1月7日 |
著者 | watchjournal-admin |
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